シャンパンとスパークリングワインの違いを
ご存知でしょうか。
私はお酒が好きなのですが、お店のメニューの表記などで
区別して書かれていたのでしばらく疑問に思っていたのですが、
大学の知的財産法の授業でこの違いを知りました。
前者はフランスのシャンパーニュ地方でつくられたものを言い、
後者はそれ以外の地域でつくられたものを言います。
したがって、どちらも製法は同じで発砲性ぶどう酒のことを指し、
その呼び名を分けるのは製造地域であるということです。
実はこの呼び名の違いには「知的財産法」が絡んでいます。
お酒を飲む側としたら名前の違いなんてたいして問題がないように
思えますが、製造者としては大きな問題なのです。
かつては同じ製法であれば製造地域が異なっていても「シャンパン」と呼ばれて
販売されていたのですが、外国で安いシャンパンがつくられるようになり、
市場を脅かされたシャンパーニュ地方の人々が地域ブランドを守るために
「シャンパン」はシャンパーニュ地方でつくられたぶどうで製造した発砲性ワイン
を呼ぶものだと主張したことが、スパークリングワインという名前の誕生のきっかけと
なりました。
これは知的財産法の中でも「商標」と同じような類で保護の対象となっています。
類似商品がつくられないように商標をあらかじめ登録しておくことが
「商標登録」ですが、人の名前や地域の名前などありふれた名称は商標として
登録できない要件になっているため、その考えからすると「シャンパン」は
珍しい例だと考えられます。ただ、調べてみると結構様々なものがいわゆる地域ブランド
として保護の対象になっていました。日本では「奄美黒糖焼酎」が同じような事例です。
一度、「シャンパン」と一般名詞化したものが地域ブランドとして
固有名詞に変わったおもしろい事例だと思います。
最近では「ゆるキャラ」というものが続々と登場していますが、
地域活性化のために様々な工夫を目にする機会が増え、その度に感心しています。
utsuno
(C)司法書士法人アイル